この職業はAI時代に大丈夫?(3) 行政書士、司法書士
[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]なんか、士業のトップ層はAIで超便利!若手士業の修行がAIに喰われるって感じで、ちょっと先行き不安な感じがする。[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]まあ、たしかに極端な言い方になっており、もう少し地味というか、地に足のついた士業にも触れよう。行政書士と司法書士だ。本当は一緒にしちゃ絶対いけない組み合わせだが、AI視点ということで許してほしい[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]
司法書士は、よく知られている登記業務(こっちは司法諸の専管)だけでなく、裁判業務、後見業務など、幅広い業務を担当している。AIが置き換えやすいのでは?と目されているのは、主に登記業務だ。
代表的なものとしては不動産登記、「売買による所有権の移転の登記」がある。
住宅を想定すると、住宅の売主と住宅の買主の合意、売買契約の成立に対して、売主から買主への売買を原因とする所有権の移転登記申請を、法務局に行う。これに際して申請情報と添付情報を提出する。
申請情報は、申請人が求める登記内容、添付情報は申請情報を補完する印鑑証明書や住民票の写しなどである。
司法書士は、クライアントへのヒアリング、売買契約書のチェックから、登記内容を決定し、申請情報の作成と添付情報の取得後、クライアントの代わりに法務局に登記申請する。
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[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]正直、書類と代行だけでは厳しいかなと思える。
ただ、司法書士との微妙な相違があり、行政への申請・登録を担当する行政書士の側に言わせると、これはAI以前から、そうだった。AIで特に厳しくなるという危機感は意外に弱い。
関連する業務プロセスは、データの作成と登録に単純化すれば、AIを使わなくともクラウド化等のこれまでのITで対応できる。しかし、実際には、不動産に限らず、専門知識を持たない顧客から、ヒアリングだけでデータの作成を自動化することは、システムの補助を受けても一般の利用者には困難だ。この問題をクリアするには、現在の深層学習アプローチの更に先のAI技術のブレイクスルーが求められると見られており、中期的にも自動登記内容作成というアプローチは実現可能性が低い。
また、売買だけでなく、相続や住宅ローンの扱いなど、データ表現上は定型的に見えても、実際の登録データ内容の決定には、一定の専門性、経験が求められるのが実態であり、親切なガイダンスに曖昧でうろ覚えのデータを入力すると、自動で修正して登記を終了させてくれるシステムは期待薄といわざるを得ない。
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[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]行政書士のすごさは、規制や新たな法律の登場に際して、その実際の適用を、先行的に取り込んでいくところにある。できあがってしまえばAIでも何とかなりそうだが、規制や法律が出来た当初は、あたりまえだが、AIは出来ていない。AIが来る前に、かっさらっていくというのが行政書士さんの戦略であり、それはAI以前から変わらないと見えている。
司法書士も含めて、登記業務のAI代替への懸念が広く言われるようになった遠因の一つに、エストニアなど、電子政府化の進んだ国における各種申請、登記業務のユーザへのダイレクト化などが喧伝されたこともあげられる。厳密に言えばAI化ではなく、その前段階の電子化なのであるが、現在の複雑な手順、専門家を介さずには実行困難な仕組み、そのものが無くなるのでは?という期待(既存供給側からすると懸念)もあったことは事実だ。
しかしながら、現在のエストニア電子政府の仕組みを見てみると、単純な案件の直接処理等は行われているものの、実態としては権利関係、付帯証明の確からしさ等に課題は残っており、専門家サービスとしてのサポートは当然、行われている。
比較的、AI化が進展すると言われる登記業務だけでなく、裁判業務、更には後見業務などは、もう一段の複雑さがともなう。たとえば後見業務の場合、認知症等で判断能力が弱くなった高齢者の後見人となり、代行者として財産管理などを行う訳だが、高齢者施設への訪問、家族との連絡、場合によっては日用品の代理購入などの仕事もあり、データ登録の困難さとは別の次元の困難さが求められます。基本的にはAIによる代替を懸念する必要はないと思われる。
【行政書士、司法書士はAIと、どう向き合っていくのか?→AIとは追いかけっこになる】
手続き、申立て等は、書式・書類と不可分であり、この部分にAIによる効率化のメスが入ることは確かだが、実態としては登録すべきデータを、いかに確定させるか等はAI化には、ほど遠い。
しかしながら、すでに利用されている不動産登記システムへのAIによる補助機能の実現は、確実視されており、申請書(人間のチェックを要するもの)の自動作成、更には法務局側でのAIによる審査(一次審査、受付審査)の導入も不可避だ。
また、本格的な業務の前さばきとして、クライアント自身が司法書士事務所のサイト上でAI相手に必要なデータ等を入力し、見積もり依頼等が行われる可能性も高い。
AIの得意技である検索に関しても、全国の不動産情報を様々な角度から検索し、所有する他の不動産、親族所有や過去の取引履歴の検索と比較、相続等によく見られるあいまいな情報にもとづく検索など、AIが有効に活用されるタスクは多く存在しており、司法書士の業務を効率化する必須ツールとして利用を進んでいく可能性が高い。
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行政書士と司法書士をひとまとめにしたのは、やっぱり乱暴なんで、そのうち書き分けることにします。ひとつ飛んでしまったが、次は税理士で。