AI時代の職業選択別コース みんなプログラマーになれば良いのか?
[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]なかなか、AIに奪われない仕事が見当たらないなあ。やっぱりプログラマーしかないか?[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]自動プログラミングは、昔からずっとAIのホット研究領域だったんだが、と言うと誤解を招く点もあるので、もう少し詳しく解説しよう。
AI時代に生き残る職業、それはAIを作る職業なのでは?という発想から、労働者はすべてプログラマーになることが合理的、という主張だ。いわゆる文系の人、高齢者等から非常に評判が悪く、無視されがちであるが、小学校へのプログラミング教育などを見ていると不安になってくる、やはり自分の子供にはプログラミング教育の塾に行かせた方が良いのかな?というのが日本の労働者の一般的な感想であろう。
また、最近、ベンチャー経営者や教育の専門家のなかにも、子供に身につけさせたいスキルとしてプログラミングをあげる例は増えている。必ずしもプログラマーになれ、というのではなく論理的思考や今後も身の回りをとりまくデジタル技術に対する理解、働きかけのための基本的なスキルという位置づけも多い。
プログラマーだけでなく、普通の会社員はすべてプログラミングを学ぶべき!という主張が、アメリカの歴史ある大手企業代表であるGEのイメルトCEO(当時)によってなされている。
要約すると、「これからは、オフィス以外の働く場所においても、データ、IoT、AI等の技術が導入され、ソフトウェアによって価値が提供される。これから職につく若者は、営業であっても、管理であっても、プログラミングを勉強しない訳にはいかない」という趣旨である。
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[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]言ってることは分かるけど、実際、プログラミングしろ、といわれるとツライ[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]
ITリテラシーの必要性として、その範囲がプログラミングの仕組みへの理解にまで広がるというところは、多くの人から受けいれられると思う。ただし、職業としてプログラマーが増えるというのは、当のプログラマー自身も必ずしも同意していない。
その理由の一つが、プログラミングそのものへのAI導入によるプログラミングの自動化である。AI技術とは異なるものの、情報システム要求仕様からプログラムを自動コーディングする研究は、それこそ、1980年代から継続して行われている。いろいろ、条件はあるものの、定型的なプログラムについては、十分、実用可能な範囲に到達している。
また、プログラミング自体は、厳密な意味でデータの定義、処理ロジック等の要求仕様を定めないと作成することはできないが、自動運転や囲碁へのAI導入を見ると、深層学習という形で、内部のロジックは、よく分からないまま(ブラックボックス化)、入力データから、それらしい判断基準に沿った出力を、導き出すことも、今より低コスト、短期間で実現できるようになると思われる。
もちろん、リテラシーとしてプログラミングの概念、手法、アプローチを理解しておく必要性はいうまでもないが、職業として、プログラマーが増えるという必要性には疑問も残る。
すると、今度は、自動プログラミングができるようになるならば、プログラマーも必要なくなるのでは?という疑問が生まれる。これについては、自動プログラミング技術で実現できるプログラム以下のプログラムしか作成することができない、中間階層以下のプログラマーにリスクが生じると考えるべきである。
ただし、現実の日本のプログラミング市場については、全体の半分以上の人員が、バージョンアップや保守など、既存のプログラム資産の改善、見直しに従事しているという試算もあり、昔からあるプログラム自体は自動化への障壁が高い分、人間の仕事が残りつづけているという状況にある。非効率で時代遅れであることが「残り物には福」となる訳である。
その一方で、AI、例えば深層学習の最先端領域においては、数学分野での高度な知識を前提としたモデル化と、シミュレータ等で、それを評価しつつ、研究している理論を、プログラムの形で表現している。
このような先端分野の活動は、ビジネスにおける要求仕様の作成から自動プログラミング作成といったウォーターフォール(ソフトウェア開発の正当派アプローチ)とは異なる研究、発想、モデル化、評価が渾然一体となった先端領域ならではの進め方である。プログラミングできないAI研究者は考えられないし、同じ研究理論に基づいてプログラミングをしても、名のある優秀なプログラマーは、芸術家のように美しく、洗練されたコードを、平凡なプログラマーの10倍では効かない、高い生産性で生み出していく。
プログラマーでない研究者には一流の研究はできない。
プログラマーは、その上位層においては、アーティスト、サイエンティストと同じカテゴリーで、その価値が認められる世界となっている。
おそらく、現在の自動プログラミング技術やAIの普及によって、市場のマジョリティを形成しているビジネス分野の定型的、汎用的な業務は、新規開発において自動化の対象として巻き取られていき、現在のプログラマー中間層は業務量が減少していく。
ただし、世に多くある既存のプログラム資産を維持、保守する分においては、AIが稼働可能な環境を整えるよりも、これまで、その世話を続けてきた人間に任せておいた方がコスト的にも安くすむという判断になる。
そして、上位階層のプログラマーは、今後もAIやアナリティクスなどの先端分野において、人が足りないと言い続けられることになりそうである。
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