この職業はAI時代に大丈夫?(10) 銀行員
[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]色々言われている代表的な商売として、銀行員とかどうでしょう[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]保険会社の査定員のようにAI導入=人員削減とでも言うような直接的な報道こそ、少ないものの、大手銀行で店舗数を削減するといった報道は多く耳にする。
店舗数の削減や配置転換の裏に、AIが重要な役割を果たしており、銀行員の仕事は、これから厳しいのかもしれない?と心配している人は多いと思う。[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]
振り返ってみると、銀行業界は、1970年代から、コンピュータの導入で産業界の先頭を走ってきた。
自動化や効率化に関しての取り組みは、他業界に引けをとらない。これが、逆にAIに職を奪われるのでは?という不安につながっているように思える。
加えて、近年のネットバンクやFintechなどの新たな技術やビジネスモデルの登場で、店舗そのものの数が減る、ということと重なって、「銀行員の数が減る」=「銀行員の仕事がAIで代替される」に、つながって少し誤解されているように見える。
もちろん、実際にAIで人が減ったと言われる事例はある。米国の大手投資銀行ゴールドマン・サックスで、2000年に600人いた株式トレーダーがAIに置き換えられて2人になったという報道がなされた。刺激的な報道があったため、インパクトも無視できないが、これについては、いわゆる店舗の銀行員ではない。
投資銀行としてのトレーダーであるため、「銀行員の数が減る」と同じ扱いにするのは少し無理がある。
現実には、AIだけでなく、ネットやFintechなど、コンピュータに関係した領域全般で、新ビジネスや新しいビジネスモデルが登場しており、AIによる影響とは無関係な部分も多い。銀行員の仕事の多くはデジタル化の影響を受けており、AIだけに、仕事の代替リスクを押しつけるのは不公平だ(笑)。[/chat]
[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]AIじゃないかもしれないが、やっぱり減るのですか?[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]
銀行員のお仕事は、預貯金、顧客対応、融資(含む与信)を、主に消費者と企業・団体向けに提供することである。
もちろん、本業の決済を忘れてはならないのだが、既に決済分野は、AI以前の段階でIT化が押さえこんだ状態であり、実質的に銀行員の仕事とは呼べなくなっている。
前述のトレーディングや店舗管理、審査など関連業務のすそ野も広いが、AIの導入は、融資(与信)、顧客応対(コンサルテーション、異なるサービスの提供)が主となっている。基本的な預貯金や投資神託等の業務は、ネットや情報システムの普及段階で、AIを待つまでもなく、自動化済みである。
富裕層向けのいわゆるウェルスマネジメントなどは、資産評価やリスク評価などで、AIによるサポートツールの提供が大手銀行やベンチャーを中心に、とりくまれているが、銀行員と呼ばれる人々の大半は、トレーダーや富裕層向け営業等とは異なっている。
現在のAI導入の多くは、融資にともなう与信や顧客対応(資産相談等)が主となっており、特に与信については、保険同様、一次審査は人ではなく、AIが担当することは確実視のようだ。
ただし、人が不要になるのではなく、やはり、二次審査や審査への監査などは人が行わざるを得ず、現場確認などAIで代替できない業務も残る。
AIは審査業務の前半に相当する部分を代替していくが、AIによって審査業務が完結するという事態は想定しにくい。
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銀行業務に限った話ではないが、個別の特殊業務対応など、ニッチな業務を除けば、残されたAIの役割は、対人インターフェース(電話受け付けが代表例)となる。その後ろは、ネットバンク等の仕組みが用意されており、AIは顧客とネットバンクをつなぐ部分となり、顧客の意志決定支援、リスク評価、監査等を行いつつ、資産管理やその他の金融サービスへの導入役が期待されることになる。
ただし、完全な対人インターフェースの提供(人間である顧客がAIに対して違和感を感じない)は、難度の高い目標設定であることは容易に想像できる。また、AIはデータを前提とするが、そもそも中小企業や新規起業など、データの存在しない分野から、データをとってくることが人間の業務という見方もある。
特定の専門分野など、会話の流れ、使われる単語、業務ルール等が比較的、限定されている環境(利用される言葉の専門性が高く、前後のやりとりに誤解が生まれにくい。たとえば相続等が該当する)はAI化が浸透しやすい。
【銀行員はAIと、どう向き合っていくのか?】
預金引き下ろしのため窓口で銀行員からお金をやりとりする、銀行員が自転車で商店や中小企業を、毎日、訪問して融資や資金関連サービスを提供するというサービスは、実質的に20世紀の終わりにはなくなっていた。もちろん、企業を訪問する銀行員は今も多いが、それは融資や回収の可否を判断し、評価するために現地現物にあたっているのであり、お金のやりとりそのものは、情報システムの利用によって、銀行員そのものからは、分離されている。
AIの導入は、銀行員が融資先を目で見て評価する部分を、ゆるやかに浸透していき、データによる業務へと変えていくであろうが、人そのものを置き換えるのは、限定的な分野、業務であり、そこから漏れた業務、とりこぼしを無くすことは人の仕事として残っていく。
銀行員は、これまでも情報システム化の先頭を走ってきたが、今後もAIに対して、ツール活用として、先頭を走っていく、というのが予想されるAIと銀行員との関係である。[/chat]