AIは本当に仕事を奪っているのか(2)? 損害保険の話
[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]新聞で見たのは、損害保険会社の事故査定要員のリストラだった。結構、難しそうな仕事なのにAIに置き換えられるとか、ちと怖い・・・[/chat]
[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]けっこう、いいとこを突いている。ただ、損害保険の査定という業務が、基本的な確認、一次審査、二次審査といった階層構造になっており、今回のターゲットは基本的な確認と一次審査の置き換えだった。結果的にベテラン要員は、そのまま二次審査に特化することになった。今、働いている人からすると、事務サポートのような人は仕事を奪われ、専門査定要員は仕事を奪われるには至らなかった。もちろん、これからの採用人員が、より少なくて済むという見方もあり、AIが仕事を奪った、奪わなかったのいずれか一方という訳には行かない、という玉虫色の結論となる(笑)[/chat]
[box04 title=”損保査定のケースは?”]
新聞等でも報じられ、代表的な事例と言える損害保険会社の事故査定要員の例をとると、対象となったのは、事故現場での査定を行う専門家ではなく、彼らが現場で作成した事故報告等のレポートを読んで、各案件の状況や等級などの評価を行い、保険額の一次査定を行う職種である。彼らの仕事であるレポートを読んで、評価・審査するという仕事がAIによって代替され、結果としてリストラにつながったというものである。
ただし、誤解してはいけない点がある。損害保険の事故査定そのものが置き換えられた訳ではない、現場の事故評価等の要員は対象にはなっていない。形としては、人間相手ではなくAIに対してレポートを提出することになった。また、これまでも、一次査定要員が一人で査定結果を最終的に確定してきた訳ではなく、二次査定などの上席担当者のチームが最終的な承認を行っており、これは変わっていない。そのチームは現在も残っており、あくまで最終決定は、AIではなく、人間が担当している。
大手の保険会社の場合、取り扱う案件数も膨大であり、それを効率的に処理するため、現場、一次審査、二次審査(加えて、別系統で妥当性を確認する監査も行われる)といった組織体制を用意しており、今回のいわゆるAIリストラの対象は一次審査の部門、要員であった。したがって、すべての仕事が奪われた訳ではなく、すべての人が職を失った訳でもない。実際、多くの保険企業においては、二次審査や監査等に異動となった人が多い。[/box04]