この職業はAI時代に大丈夫?(6) アクチュアリー

[chat face=”frogface.jpg” name=”カワダさん” align=”left” border=”blue” bg=”green” style=”maru”]一見、士業ではないように見えるが、実は並の士業をはるかに超えた専門職、隠れ士業ナンバー1と呼ばれるアクチュアリー、保険数理士が次のターゲットだ[/chat]

[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]なんか凄そうだけど、よく分からない。そもそもどんな仕事なの[/chat]

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アクチュアリーとは、ビジネス分野でのリスク、不確実性分析、評価等を専門とする専門職のことだ。主な活躍分野としては、保険分野が代表的である。統計解析、モデル化等の数理解析技術にもとづいて、リスク評価や、それを反映した保険料率算定等に取り組む高度な資格職種であり、以前は保険数理人と呼ばれるていた。

近年は、信託銀行や官公庁の年金関連業務、監査法人など、多様な分野での活躍が進んでいる。いわゆるメーカーの技術者とは異なる方向性を有する、極めてハイレベルな理系職種、独占業務はないけれど、隠れ士業の最高レベルとも評価されている。

その歴史は長く、近代の保険産業発祥の地、英国で生まれ、各国にアクチュアリー団体が置かれて、資格審査等が行われている。情報交換などは世界レベルで極めて活発に行われているのが特徴で、専門職のなかでも、国をまたがった連携が多く見られる、国際的な職業と言える。

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[chat face=”azatooth.jpg” name=”アザト君” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]なんか格好いいね。報酬もよさそう(喜)[/chat]

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アクチュアリーの仕事は、生命保険、損害保険、年金が代表的であり、加入者のリスク評価と、それにともなう料率や料金等の合理的な設定のための数理解析(モデル化等)である。もともと、統計解析が中心であり、Excel等のパソコンソフト普及以前から、大型コンピュータのタイムシェアリングサービスによる統計解析をガンガン使うなど、コンピュータ利用については、先進的な職業の一つなんだ。

近年は、プレディクティブモデリングや機械学習の統計分野への導入など、AIに関連した技術と統計、ビッグデータの境界が曖昧になりつつあり、少なくともアクチュアリーのツールとしてもAIの活用は増え続けている。

反面、リスク評価モデル自体は、いくつかの手法やデータの傾向分析をもとに、人間が構築して、その構成要素としてAI技術が使われるというのが現実的である。AIが自動でデータ群に対して、最適な評価モデルを構築、選択するという段階には至っていない。

ただし、与えられたデータ特性を解析し、適合性の高そうなモデルを複数、自動作成しつつ、適合状況別に評価、提示するというアプローチは進められており、新規性の高いデータ群に対して、多数のモデルを同時適用するといったコンピュータならではの力技によって、難度の低い分野、データについては専門家としての知見を活用しなくとも、一定のリスク評価の成果はあげられるという見方が出てきた。

アクチュアリーの業務現場からすると、解析、モデル化といった本来業務は比較的、AIとの親和性は高いものの、その結果を組織内、官公庁、金融機関等に説明する際、結果の妥当性だけでなく、ロジックやモデルの優位性を説明することが求められることとなり、そこに手間がかかっている。弁理士や法曹職と同じ構図だ。

また、深層学習などのAI活用モデルの場合、なぜ、適合性が高くなるかはブラックボックス状態であり、手法を説明することはできても、優れたモデルであることの説明は出来ない、といったことも彼らの頭を悩ませている。

現在、AIの研究開発の方向性として、非ブラックボックス化(ロジック、解析ルールを第三者に説明できるようにする)も、取り組まれているが、深層学習の特性上、ブラックボックス化は避けられない部分が残るという見方も根強い。

加えて、ビッグデータとAIの共通領域として、オールタナティブデータ(SNS発信、POS売り上げ、自動車通行量など、一見、保険料率とは直接関係しないデータ)を、評価モデルに組み込んでいくことも進められており、AIの利用領域は更に拡大していくことは確実だ。

アクチュアリーの本来業務を、解析・モデル化とするか?関係者への説明・納得化とするか?は、ここでは検討できないが、ツールさえ整備できなれば、アクチュアリーは不要ということにはならないと思われる。[/chat]

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【人間に残された仕事は、将来、AIに置き換えられないか?】

リスク評価のモデル設定(どのパラメータ、モデル)は、現時点では人間主体であり、これをAIが置き換えるとすれば、対象データだけでなく、オールタナティブデータを含む膨大なデータ群に対して、有効と想定されるモデルを、人間では管理しきれない膨大なモデル数で生成し、その中から優位なものを選択、チューニングしていくといった使われ方が想定される。

上記のアプローチは、コンピュータという計算資源が制約されていた時代、人間の知恵で、モデル化と評価のコストと時間を抑えるために、「センス」の良いモデリングを指向してきたこととは、真逆の方向であり、これが主流のスタイルとなるかは不透明だ。

悲観的な見方としては、囲碁のAIがAI同士で大局を膨大な数(1億回より多い)こなすことで、人間のとらない定石を採用しはじめたということと、同じ事態になるのでは?という見方がある。その場合、アクチュアリーの仕事は、モデルの有効性評価と、その有効性を実現するメカニズム、データ選定理由等について解析し、関係者に説明するといった仕事になる。いわばAIから神託をあずかる「巫女」のモデルである。

【アクチュアリーはAIと、どう向き合っていくのか?】

アクチュアリーは、保険数理士という名前から分かる通り、統計解析を必須の武器とする職業である。当然、コンピュータ化には、利用者として最先端の立場で取り組んできており、AIの導入も、既に深層学習の統計分野への活用や、オールタナティブデータの利用など、活発化、高度化する一方と言える。その意味で、アクチュアリーはAIを使うだけでなく、AIとともに発展・進化することを求められる職業の一つと言える。

少し悲観論に聞こえるかもしれないが、AIが置き換えるのではなく、AIとは離れることのできない職業の道になりそうである。

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次は理系士業でありつつ、文系の素養も必要とする、士業のなかでも最も広範囲をカバーするとされる建築士をとりあげる。

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